在宅血液透析(HHD:Home HemoDialysis)は、現在急速に普及している透析療法で、ご自宅で血液透析を行う方法です。
2017年末時点で、全国で683 名の患者さんが治療を行っており、年々患者数の増加が見込まれています。
在宅血液透析は、医療施設の管理のもと、 患者さん・介助者が協力して家庭で透析を行う治療法です。
そのため、安心して在宅血液透析を行うために、患者さんと介助者は、透析の知識や技術などの習得が必要となります。
透析量を増やしたり、自分にあったスケジュールで治療を行うことで、更なる予後の改善が見込まれます。
在宅血液透析を導入するためには、患者さんご自身がメリットとデメリットを理解し、選択することが大切です。
◆長時間透析や頻回透析で十分な透析治療をおこなえる。
◆自由な透析スケジュールで透析治療をおこなえる。
◆自己決定・自己責任でおこなう必要がある。
◆介助者、工事・保管場所が必要となる。
血液透析療法では、一般的に週3回4時間の治療が標準透析とされています。
しかし、この週3回4時間の治療効果には根拠が無く、いわば必要最低限の透析量と言えるでしょう。
在宅血液透析では、社会復帰を大きな目的として、日常生活をもっと快適に、合併症の無いように生活するために、より多くの透析量を確保することができます。
より多くの透析量を確保するための指標として、HDP(HemoDialysis Product)と呼ばれる考え方があります。
HDPは、次の計算式により計算されます。
HDP = 1回の透析時間x(週の透析回数x週の透析回数)
これによると標準透析と言われる週3回4時間の透析は、[標準透析HDP:1回4時間 ×(週3回x週3回)= 36 ]となります。
しかし、HDPは70以上が望ましいとされており、当クリニックでも[HDP:70以上]を推奨しています。
1.隔日透析・・・2日空きを作らない透析
例)隔日透析HDP:1回5時間x(週3.5回x週3.5回)= 61
2.長時間透析・・・1回の透析時間を延長した透析
例)長時間透析HDP:1回6~8時間x(週3回x週3回)= 54~72
3.深夜(オーバーナイト)透析・・・夜間睡眠時におこなう透析
例)深夜透析HDP:1回8時間x(週3回x週3回)= 72
4.頻回透析・・・週5回以上おこなう透析
例)頻回透析HDP:1回3時間x(週5回x週5回)= 75
5.連日透析・・・連日おこなう透析
例)連日透析HDP:1回3時間x(週7回x週7回)= 147
6.長時間頻回透析・・・長時間透析と頻回透析を組み合わせた透析
例)長時間頻回透析HDP:1回6時間x(週5回x週5回)= 150
以下のような基準を参考に導入を検討します。
あわせて「在宅血液透析開始までの流れ」と「在宅血液透析Q&A」の内容もご確認ください。
大分県腎協会報「ゆふ」2019年6月号に在宅血液透析にまつわる記事が掲載されました。