バスキュラーアクセス管理


バスキュラーアクセスとは


バスキュラーアクセスとは、血液透析療法を行う際に、体内から血液を取り出し、再び体内に戻すために患者さんに増設される血液の経路のことです。

様々な方法がありますが、一般的には手首付近の動脈と静脈をつなげて静脈内に動脈血を流入させることで静脈血管を太くして透析用の針を刺しやすいようにしています。

血液透析療法により効率の良い毒素・水分の除去をおこなうためには、バスキュラーアクセスは常に良い状態に保つことが重要となります。

自己管理が出来なかったり、無理なことを繰り返して体に負担をかけると、バスキュラーアクセス血管は細くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)します。

そのようなことが起こらないように、当クリニックでは様々な取り組みを行っています。

当クリニックでのバスキュラーアクセス管理の取り組み


1.視て、聴いて、触って


バスキュラーアクセス血管に対して『視て 聴いて 触って』の理学的所見を丁寧に確認しています。

基本的ですが大変重要なケアとなり、バスキュラーアクセスの変化にいち早く対応することができます。

2.超音波検査


定期的に超音波エコーでバスキュラーアクセス血管の状態を確認します。

状態の確認は、血流機能評価と形態評価でおこないます。

血流機能評価


良好なバスキュラーアクセス
良好なバスキュラーアクセス
バスキュラーアクセス機能不全
バスキュラーアクセス機能不全
バスキュラーアクセス過剰血流
バスキュラーアクセス過剰血流

形態評価


バスキュラーアクセス血管の良い状態(血管が太く蛇行がない)
バスキュラーアクセス血管の良い状態(血管が太く蛇行がない)
バスキュラーアクセス血管の狭窄
バスキュラーアクセス血管の狭窄
バスキュラーアクセス血管の蛇行
バスキュラーアクセス血管の蛇行

形態評価では他にも、血栓や石灰化、血管の荒廃やプラーク形成がないかなどを確認します。


3.再循環率測定


バスキュラーアクセスの状態が悪くなり、血液が血管内を流れにくくなると効率の良い血液透析療法が出来なくなります。

ブラッドボリューム(BV)計により動脈側・静脈側の2つのセンサーを用いて、バスキュラーアクセスの再循環率を測定することで、早期にバスキュラーアクセスの悪化を防止することができます。

再循環が起こるケース

  1. 動脈穿刺針と静脈穿刺針の穿刺位置が近い
  2. 動脈穿刺針と静脈穿刺針を逆に穿刺
  3. アクセス部の血管に血流量が低下するような障害がある
  4. アクセス部の血流に対して体外循環血流が速すぎる
  5. 中枢側血管に狭窄がある

4.加圧式VAマッサージ


バスキュラーアクセスでは、様々な要因が影響して血管内が狭くなる(狭窄)ことがあります。

その狭くなった血管に対してある程度の圧力をかけてマッサージすることで、狭くなった部分の改善が見られるとの報告があります。

患者さんとともにバスキュラーアクセスを長持ちさせるため、当クリニックでは必要に応じて加圧式VAマッサージにも取り組んでいます。

5.遠赤外線治療


下肢末梢動脈疾患(PAD)の改善やバスキュラーアクセスの長期的開存・疼痛緩和を目的に製作された遠赤外線治療機を用いた遠赤外線治療をおこなっています。